Rちゃんに何をどう話をするか。
とても難しいことでした。
僕がRちゃんに人工透析をすすめても他の人と同じ様に聞いてもらえないと思いました。
僕がかつて病院の待合室で
「人工透析は人生のリラックスタイム」
と話してもらい、僕が人工透析を受入れられた様に、
Rちゃんにも人工透析に対する誤解や不安を取り除いてあげたいと思いました。
そして僕もかつてそうだったように、Rちゃんも病気を治そうと長い長い間必死で頑張って来た。
その長い間の頑張りが人工透析をする事で、今までしてきた全ての努力が無駄になると思うと敗北感と無力感を感じて打ちのめされてしまう。
Rちゃんも同じ様な気持ちを抱いている様な気がしました。
僕がTさんやS先輩やいろんな人に教えてもらった様に、
たとえ人工透析になっても今まで頑張って来た努力があるから誰よりも、
他の人の苦しさを想像しようとするし、寄り添おうとする事が出来る。
優しくなれるし強くなれる。
長い間の努力は決して無駄にはならないと分かって欲しいと思いました。
そう思い浮かべると僕は直にRちゃんに電話をしました。
僕はRちゃんに前もって伝えたいと思った事を伝えられたかどうかは分からなかった。
でも同じ腎不全の病を背負っている者同士で、どこか心の奥で分かり合える所があったのだろう。
僕は
「人工透析は第二の新しい人生の扉を開いてくれるよ」
と言い、
「僕のお世話になっているK病院で一緒に人工透析をやろうよ、楽しいよ」
とまるでCAFE に誘うみたいに言ったのだけは覚えていました。