ありがとう腎臓病

このブログは25才で腎臓病と診断されたKIYOKUNが、ある人からの「腎臓病に感謝」という言葉をきっかけに、毎日を精一杯生きてHAPPYな人生を歩む物語です。

其の135
ハミングさん

 

お店の入口は引き戸でガラガラと音がなりました。

おそるおそるお店に足を踏み入れると、

「こんばんは〜」

と普段、知り合いの人と挨拶する様な感じでマスターが声をかけてくれました。

よそいきの「いらっしゃいませ」ではなくて気さくな「こんばんは〜」でした。

 

お店はテーブル席が2つとカウンターに椅子が5、6脚並んでいました。

他にお客さんはいないようでしたので僕は思い切ってカウンターに座りました。

気さくな感じのマスターがメニューを出してくれました。

僕はいつも人工透析が終るとお腹が減るので何か食べようとメニューを見ました。

メニューは珈琲とカフェオレと紅茶とミックスジュースだけでした。

僕は仕方なくカフェオレを注文しました。

 

カフェオレを待っている間、

「カッチカッチ、コッチコッチ」

と壁にかけてある大きな古時計の音がお店に響いていました。

僕はその音を聴いているとだんだんと気持ちがよくなってきました。

しばらく時計の音に身を任せてぼんやりとしていると突然、

「ガリガリガリガリ」

と音がしばらくの間なって時計の音を遮りました。

良い気分から起こされて何の音かと思っていると、

今度はとても香ばしい香がしました。

「ガリガリガリガリ」は珈琲豆をひいた音でした。

香は珈琲の香でした。

 

古時計の「カッチカッチ、コッチコッチ」と珈琲の香ばしい香にとても心地よくなりました。

そしてマスターの

「はい、どう ぞ〜 」

のリラックスした声と共にカフェオレが出てきました。

HAMINNGU

 

珈琲にミルクをたっぷりと入れたカフェオレはさっきの香ばしい香から優しい穏やかな香になっていました。

僕はカフェオレを飲みながら気さくな穏やかなマスターとおしゃべりをしました。

夜間人工透析の後でしたが、マスターとこのお店の雰囲気にすっかりと僕は気持ちをリラックスさせてもらいました。

長い1日の疲れが知らない間に取れていました。

 

僕は長い闘病生活でこんなに気持ちが楽になったのははじめてでした。

体を治してくれる病院だけではなくて、心を落ち着かせてくれる場所もきっと必要だったんだと思いました。

緊急水道工事さんのおかげで僕は素敵なお店を紹介してもらいました。

これから僕はちょいちょいこのお店に顔を出す事になっていきました。

お店の名前はハミングさんと言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

  1. ハミングさん より:

    懐かしいですね深夜のハミングバード。時計の音は不思議です。時間が進んでいる音なのに、カチコチカチコチを聞いていると時間が止まっているような感覚になります。ハミングバードは時計の音のようなお店でした。kiyokunが初めて来てくれた時のことは良く覚えていますよ〜。もちろん奥さんと初めて来てくれた時のことも。
    しかしメニューはもうちょっと他にもあったと思うのですが〜(笑)

    • kiyokun より:

      ハミングさん

      コメントありがとうございます。

      メニューもっとありましたか〜!
      失礼しました。

      僕にとってのハミングさんのお店での時間は
      ゆったりとながれて、ゆりかごのような居心地でした。

      ありがとうございました。

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