おチンチンから出ている管は、ベッドの脇に備え付けてある袋につながっていました。
その袋におしっこが溜まります。
その袋は計測用のメモリがついてあり、母からもらった腎臓が1日にどれくらい働いておしっこを作ってくれるのかを直ぐに確認できるようになっています。
また袋は透明でおしっこの色も確認できるようになっていました。
僕の担当医のS先生は1日に何度も回診に来てくれました。
S先生は若くて誠実なお人柄で、ベッドで寝ている僕によく声をかけて励ましてくれました。
S先生は手術は無事に終わって順調ですよと話してくれました。
そしてS先生はおしっこの袋をよく観察してくれました。僕はベッドに寝たまま身動きがとれないので、妻のCちゃん、S先生が袋に溜まっているおしっこの量と色を確認してくれました。
おしっこの色は真っ赤でした。Cちゃんは驚いていましたがS先生が
「手術をして身体の中に溜まっている余分な血を身体の外に出してくれているから心配ないですよ。」
と説明してくれました。
手術が終わって1週間もするとだんだんと赤い色が薄くなってきました。
また、おしっこの量も手術後は1500ccから2000ccでしたが、日に日に増えてきました。
母にもらった腎臓が一所懸命頑張って働いてくれていたのでした。
腎臓移植手術のお腹を切って腎臓を取り出して移植するという外科的な部分は泌尿器科の先生方が担当してくれます。
外科的な手術は泌尿器科の先生方のおかげで大成功でした。
一方、移植手術後に一番良いお薬の量を調整してくれるのが腎臓内科の先生方でした。
移植後は拒絶反応が起こって母からもらった腎臓をダメにするのが怖いので免疫抑制剤とステロイド剤を多く投与します。
ですが多すぎると免疫抑制剤とステロイド剤は今度は逆に副作用の腎障害を起こさせてしまいます。
お薬が少ないと拒絶反応、多いと腎障害。
しかも人によって一人ひとり体が違いますからお薬の調節は本当に大変だろうと想像します。
ベテランのH先生が回診に来た時に、
「S先生は寝る間も惜しんで、
世界中の論文を読んで最高の最新のお薬をkiyokunのために勉強している。」
と言ってくれました。
若いS先生はそんなことは一言も話さずに、
僕のためにすごい努力をしてくれているのでした。
そして回診の時にはいつもにこやかに声を掛けてくれるのでした。
僕は言葉にならないくらいの感謝が心にこみ上げてきました。